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認知症 看護 大切なこと

2024年02月15日

2023年9月15日現在の日本の65歳以上の高齢者の割合は29.1%と過去最高を更新しました。

75歳以上の人口もはじめて2,000万人を超え、10人に1人が80歳以上となっています。

高齢化と切っても切り離せない関係にあるのが認知症ですが、家族が認知症となった時、どのように向き合えばよいのでしょうか。

本記事では認知症の現状や家族が認知症の看護をする際に大切なことをまとめます。

ぜひ、家族の認知症ケアの参考にしてください。

認知症 看護 大切なこと

認知症の現状

2023年8月に出された政府広報「知っておきたい認知症の基本」によると、高齢者3,079万人のうち、MCI(正常と認知症の中間の状態)と推定される高齢者は400万人、認知症と診断された人の数は462万人です。

MCIと認知症の方の数を合わせると862万人となり、全体の約28%となります。

高齢者の3人から4人に1人が認知症またはMCIであることがわかります。

2025年には高齢者5.4人のうち1人が認知症になると予測されています。

認知症はどんな病気?

「知っておきたい認知症の基本」では、認知症を以下のように定義しています。

”「認知症」とは、様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態”

認知症は脳の病気であり、記憶や判断が難しくなって生活するのが困難になるのです。

一般的に加齢によって記憶力は低下します。加齢による物忘れが一部を忘れたり、物忘れの自覚がなかったりするのに対し、認知症は自分の行動全て(たとえば、朝食を食べたこと自体)を忘れてしまったり、物忘れの自覚が無かったりします。

認知症の約3分の2を占めるアルツハイマー型認知症は、記憶障害や失語・失認・失行といったことがおこります。

失語は言葉が音として聞こえていても意味が分からなくなることで、ものの名前を忘れることも失語に入ります。

失認は問題なく見えているにもかかわらず、それが何者であるか判別しにくくなることです。

失行は手足の機能に問題ないにもかかわらず、今までできていた動作ができなくなることです。

認知症の家族を看護する際に大切なこと

家族が認知症と診断された際、自宅で介護する家族はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

認知症の家族の看護で大切なことをまとめます。

相手の立場を尊重する

1つ目のポイントは相手の立場を尊重することです。

認知症になると記憶や判断に誤りが生じやすくなりますが、家族の方が頭ごなしに否定すると本人のプライドが傷ついてしまうかもしれません。

認知症は脳の病気ですが、自尊心を失ってしまうわけではありません。

出来ないことが多くなったからといって、子ども扱いされたり怒鳴られたりすれば、相手の感情も傷ついてしまいます。

その結果、怒りの感情が出てきてしまい、家族の関係が悪くなってしまうかもしれません。

認知症になっても人格を失っているわけではありませんので、相手を人間として尊重しなければなりません。

相手のペースに合わせて見守る

2つ目のポイントは相手のペースに合わせて見守ることです。

看護する側は相手のことを心配し、ついつい先回りして色々なことをしてしまいがちです。

着替えや家事などの日常動作や趣味の中で、できることは自分でやってもらうという関わり方も大切です。

家族にほかの予定があると、つい急かせるような声かけをしてしまうこともあるでしょう。

こうした行動は相手のペースを乱してしまい、大きなストレスを与えてしまう可能性があります。

ペースを乱されると相手が興奮してしまうこともあるため、動作が遅くてもせかさず見守った方がよいでしょう。

また、何らかのケアをするときは次に何をするか予告してから行うとストレスがかからないため望ましいといえます。

理解しやすい言葉でわかりやすく話す

認知症になると話しかけられてもすぐに理解できなくなることがあります。

話しかける際は相手の視野に入って、ゆっくりと理解しやすい言葉で話しかけましょう。

また、一度に複数の要件を伝えるのではなく、1つ1つ区切ってシンプルに伝えると伝わりやすくなります。

安心感を与えられるように接する

認知症の方は感情やその場の雰囲気に敏感になっています。

一つひとつの出来事を記憶していなくても、その場で起きた事に関する「好き」や「嫌い」といった感情は覚えています。

出来るだけ前向きになれるような言葉をかけると同時に、先々の見通しを伝えることで相手が安心感が得られるよう接しましょう。

言葉以外のコミュニケーションも重視する

コミュニケーションには言語によるコミュニケーションと言語以外のコミュニケーション(非言語コミュニケーションまたはノンバーバルコミュニケーション)

ノンバーバルコミュニケーションは、身振り手振り、視線、表情、声の大きさ、ジェスチャーなどのことです。

認知症の方は言葉によるコミュニケーションが難しくなるため、スキンシップをとったり、身振り手振りを活用して物事を伝える必要があります。

全ての方がスキンシップを好むわけではありませんので、相手に合わせてコミュニケーション方法を考えましょう。

急な環境変化を避ける

認知症の方の中には環境変化によるストレスで症状が悪化するケースが見られます。

家族が外出して自宅で一人になると不安を感じ、徘徊行動を行うケースもあります。

これらのケースは本人にとって大きな環境変化が原因となって引き起こされている可能性が高いため、急な環境変化や本人が不安になるような変化は出来るだけ避けたほうがよいでしょう。

過去の話に耳を傾ける

認知症の方は同じ話を繰り返したり、つじつまが合わない過去の話をすることがあります。

聞いている方は「これは違う」「同じ話をしていた」と思うかもしれませんが、正しいかどうかが大事ではありません。

相手の話に耳を傾け、どのような思いをもって生きてきたかを語っているのです。

聞く側は出来るだけ途中で否定せず、最後まで聞いたほうがよいでしょう。

まとめ

今回は認知症の現状や認知症の方を家族が看護する際に大切なことを開設しました。

高齢化が進む中、認知症は特別なものではなくなりました。

多くの方が認知症になると同時に、家族が認知症になることも珍しくなくなったのです。

家族で看護する際に大切なのは、認知症の方を一人の人間として尊重しつつケアすることです。

しかし、家族だけでは看護負担が重すぎることもあるでしょう。

そんなときは家族だけで抱え込まず、かかりつけの医師や公的機関に相談しましょう。

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